模型製作記

アーマーモデリング2021年5月号 九七式中戦車チハ:作例製作記

今回は、4月に発売されたアーマーモデリング5月号掲載作例の九七式中戦車の番外編をお送りします。

「ドラゴンのチハ作ってみない?」とお誘いをいただいて、めでたく作例担当3作目となるチハ。

色々とこだわって製作したのですが、ページの都合上、誌面にはあまり製作工程を載せられませんでした。

今回は番外編と言うことで、誌面に載らなかった工程をババンとご紹介していきます。

組み立て・下地塗装

組み立ては基本的に素組みで、塗装とウェザリングの為になるべく接着はせずに進めました。

ディテールアップは牽引ワイヤーをモデルカステン製の0.8mmワイヤーに交換したのみで、それ以上手を加える箇所は無いと思えるくらいにいいキットでした。

下地塗装にはお馴染みモデルカステンのチッピングベース色をエアブラシで塗装しました。

この塗料、安いとは言い難いですが深みのあるいい色味をしていて、チッピングの下地塗装としては名前の通りうってつけな製品です。

迷彩塗装

独特の迷彩を塗装したところです。

誌面では記載できていなかったですが、塗料は全てタミヤアクリル塗料を使用し、水で溶いたものをエアブラシで塗装しました。

ここに調色レシピを乗せておきます。

  • :フラットアース・イエロー・ブラウン
  • :グリーン・イエロー・ディープグリーン・ホワイト
  • こげ茶:ハルレッド・ブルー・ブラウン
  • 黄帯:イエロー・オレンジ
  • 陸軍カーキ:ダークイエロー・カーキ

塗装の下地にはヘアスプレー(ケープ)を吹き付けて、チッピングの下準備を行いました。

塗装の工程は誌面に詳しく載っていますので、是非ご確認ください。

今回製作したキットには黄帯迷彩部分のマスキングシート詳細な塗装図が付属していて、日本戦車で面倒だと思われがちな迷彩を極力簡単にするような工夫がなされています。

小柄な車体ながら、塗装によって浮き出たバキバキディテールのお陰で、存在感は抜群です。

そのままでは表情に乏しく寂しい印象を感じたので、簡単にドッティングを施しました。

ホルベインの油彩絵具12色セットの中から適当に色を選んで、点々と置いていきます。

ガイアノーツのストレーキング筆にウェザリングカラー溶剤を含ませてスーッと重量方向にぼかしていきます。

ストレーキング筆は穂先に隙間が空いているので、ドッティングの様な技法ではランダムに塗料を残すことができて便利です。

塗料を完全に流してしまわないように、含ませる溶剤はほんのわずかにするように注意。

チッピング

下地にヘアスプレーを塗装しておいたので、水を塗り付けてケープ剥がし(ヘアスプレー技法)を行います。

主にケガキ針で慎重に削っていきます。

今回、3色迷彩で塗膜が剥がれないのではないかという懸念がありましたが、うまく剥がれてくれました。

チハの迷彩は色が若干暗めでチッピングもあまり目立たないので、明るい迷彩の部分のみにチッピングを施しました。

チッピング後。

見え辛いですが、よく見ると小さな傷が沢山ついています。

大きくて派手な傷も見栄えがあっていいですが、やはり1/35サイズの極小な傷の積み重ねこそが、リアリティを生みだすのです。多分。

ウェザリング

ここからはウェザリングの工程です。

今回もいつもの製作スタイルで、GSIクレオスのウェザリングカラー、ペーストを中心に使っていきます。

車体にはサンディウォッシュを置いてぼかしていきます。

リベットなどの凹凸が多い車両なので、そのディテールを強調するのが吉。

ホコリと迷彩色とのコントラストを付けることを意識しながら汚していきます。

全体に満遍なくサンディウォッシュを塗布。

調子に乗って塗り過ぎると一気に真っ白になってしまいますが、ある程度リカバリーはできるので臆せずガンガン塗ります。

車体側面の垂直部分は重力で垂れているホコリを表現します。

これも同じくサンディウォッシュで。

適当に乗せた塗料を、溶剤を含ませた筆でそろりそろりとぼかしていきます。

塗るのは大胆に、ぼかすのは慎重に、というイメージです。大胆かつ慎重。

チハのような小柄で密度の高い車両であれば、ホコリ汚れを施しただけでもかなり見栄えのある作品になります。

迷彩とのコントラストがうまく決まれば、余計な味付けをしなくとも作品のクオリティは十分高められると感じます。

足回りのウェザリング

足回りにはウェザリングペーストを使用していきます。

マッドホワイトを少し薄めて筆で叩きながら塗り付けます。

この後、落としながら馴染ませるので、塗り過ぎというくらいが丁度いいです。

ペーストは筆がかなり傷みやすいので、使用する筆はナイロンなどの高耐久で安価な筆がおすすめです。僕は百均のナイロン筆を主に使用しています。

ウェザリングペーストマッドブラウンを使用して、マッドホワイトの上にこれまた叩きながら塗り付けます。

こうして乾いた泥と湿った泥の二色の泥を表現し、汚れに奥行きを持たせます。

そしてウェザリングペーストウェットクリヤーを薄めて塗り、より湿った暗い泥を作ります。

足回りの汚しは様々な表現方法がありますが、今回はハードな汚れを目指したので、かなりドロドロに仕上げています。

仕上げに明るい泥と暗い泥の飛沫をスパッタリングで施し、飛び散った泥を表現すると同時に汚れの情報量を増やします。

転輪も同様にマッドホワイト、マッドブラウン、ウェットクリヤーなどを用いて仕上げます。

せっかくのディテールが汚れで埋まってしまわない様、溶剤を含ませた綿棒で擦って凸部を強調しています。

履帯も転輪同様に綿棒で擦りますが、こちらは接地面の泥が摩擦で剥がれている状態を再現するためです。

チハの実車を見ると、泥だらけでも履帯の接地面だけはギラギラと光って見えていたりします。

マッドブラウン、ホワイトで汚しています。

ウェザリングにおいては塗料を塗ることは当然ですが、溶剤を含ませた筆でぼかす、落とすことによって、より自然で実感のある汚れを演出することができ、これが何より重要なポイントです。

表現が誇張し過ぎたり、わざとらしく見えないように追加、修正を繰り返しましょう。

仕上げに接地面にグラファイト鉛筆を擦り付け、摩耗表現を行います。

かなりギラギラになりますが、今回は模型的演出として誇張気味にします。

仕上げ

OVMは迷彩塗装と同様に、チッピングを施してウェザリングカラーなどで仕上げました。

マフラーの錆表現はまず全体にウェザリングカラーのステインブラウンを塗装し、乾燥させた後にラストオレンジで仕上げました。

たった二色ですが、十分錆らしさを演出することができます。

最後に、リベットや溝などにウェザリングカラーグランドブラウンでスミ入れを行い、ホコリとのコントラストをつけ、ディテールを強調します。

ホコリで白くなった車体にさりげなく暗色を配置することで全体が引き締まって見えます

チハの様にディテールの多い車両であればなおさら、この工程は効果的でしょう。

ほぼ完成!完成写真は誌面で!

以上、様々な工程を経て、完成度80%という状態がこちらです。

マフラーカバーの取り付けや細部の塗装、そしてウェザリングの調整を終えてようやく完成、というところです。

誌面では完成写真がババンとアップで掲載されていますので、是非じっくりご覧ください!

よろしくお願いします。

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