2019年 4月完成
試作兵器ながらも人気の高い、ポルシェティーガーです。
ドイツ戦車にしては珍しい前寄りな砲塔配置が特徴的です。
砲塔自体は見慣れた形なので、ティーガーだけどティーガーじゃない、面白い車輛ですね。
使用キット
- アミュージングホビー 1/35 ティーガー(p)
- マスタークラブ 金属製可動履帯 VK.45.01(p)用
- アドラ―ズネスト 1/35 2mアンテナ

この作品を製作する上でのテーマは「泥」「埃」「被弾痕」でした。
これら3つのテーマを主軸にして、四苦八苦しながらもなんとか自分の思い描いた重戦車らしさを形にできたのではないかと思います。

史実ではヘンシェル社に敗れ、実戦で活躍することはほぼなかった車輌ですが、アミュージングホビーさんがいいキットを出してくれたので、せっかくなら実戦参加した風に製作してみたくなり、色々なアイデアを取り入れました。
まず、フェンダーは全て取り払いました。

ポルシェティーガーのフェンダーはあまりかっこよく思えなかったので、見栄えをよくし、歴戦の車輛っぽさを出すためにも、これはうってつけのアイデアでした。

また、重戦車ならではの重装甲を強調するために、全体に被弾痕を施しました。
径はさほど大きくないものの、全体にまばらに配置し、戦闘の激しさや痛々しいダメージをより強調することができました。

そして、埃、泥ウェザリングです。
泥沼の東部戦線をイメージさせるために、このウェザリングは無くてはならないものです。

フェンダーを取り払ったことにより、今まで以上に埃、泥のウェザリングに説得力を持たせなければならなくなり、いい成長の機会にすることができました。
ここからそれぞれのテーマについてより具体的に説明していきます。
埃ウェザリング
暗めのジャーマングレーにぴったりなウェザリングといえば、ずばり埃表現です。

今回はそんな埃表現の仕上げを今まで以上に深みのあるものにしたいと考え、ジャーマングレーで塗装したこの車輌はいい練習台になってもらいました。
使用したのはウェザリングカラーサンディウォッシュです。
実は僕の中でウェザリングにおける大きな目標があります。

それは、ピグメントを使わずにどこまでピグメントの質感に近づけられるか、ということです。
今回も、その目標達成に着実に近づいていくため、埃表現はとにかくこだわりました。

垂直部は、始めに顔料を置き、馴染ませるようにぼかした後、その上にストレーキングを意識して薄く薄く埃の縦線を描いていきます。

これを全体に行いました。
こうすることで、ふわっと付着した埃と、雨などの水で流れ落ちかけている埃の両方を表現することができました。

箇所によって顔料の量を調節し、埃がより溜まっている部分とほとんど溜まっていない部分を出すことで、メリハリが生まれます。
金属の重厚感を保ちつつ、車体に舞い上がる埃の感じを上手く出すことができました。
泥ウェザリング
東部戦線の激しさを強調するのに欠かせないのが、泥ウェザリングです。
人によって仕上げにかなり差が出るものの、僕は泥まみれにするのが大好きです。

なので、今回は埃ウェザリングと同様に、より泥の表現を追求すべく、僕の持てる技術全てを使って挑みました。

泥ウェザリングに使用したのはウェザリングペーストマッドホワイト、マッドブラウン、そして立体感を出すためのリアルサンドです。

僕の中で定着しつつあるこれら3つのマテリアルは、無限の可能性を秘めています。
単体でも色々な表現が可能で、組み合わせることによってさまざまなシーンに対応でき、今後もメインブキとして活躍してくれることは間違いないでしょう。

今回泥ウェザリングを行うにあたって一番意識したのは、いかに情報量を増やすか、ということでした。

特に履帯と転輪は僕の中でもどうすればより良い表現ができるかを常に考えている部分であり、今回も最高の泥ウェザリングを目指して頑張りました。
まずマッドブラウンとマッドホワイトによるランダムな泥汚れを出し、更にスパッタリングで泥跳ねを表現。

これだけでも情報量としては申し分ないのですが、さらにその上にリアルサンドを添加したマッドブラウンを塗り、立体感のある泥汚れでさらに情報量を増すことができました。

箇所によって凹凸を出すことで、色の違い、つまり二次元的な情報量を増やすだけではなく、三次元的な情報量を増やすことができ、より密度の高い仕上がりが期待できます。
被弾痕
最後に被弾痕です。

重装甲の車輛ならば押さえておきたいポイントの被弾痕ですが、実車写真での形状は様々で、色々な解釈ができます。

実際、色々な作品を参考にしている時も、人によって仕上げにかなり違いがあるのがわかります。
今回は僕の中で新しい被弾痕の仕上げとして、溶けた装甲の盛り上がりと煤汚れは抑え、錆を強調したものにしてみました。

初めにリューターで適当に削り、塗装後、仕上げの時にメタルカラークロームシルバーを塗りました。

こうすることにより、砲弾によって抉られ、金属の地肌が出ていることを表現できます。
続いて油彩のバーントシェンナで錆を表現。

これを箇所によって塗ったり塗らなかったりすることで、被弾から時間がたっているものと被弾したばかりのものを作ることができます。
そして被弾痕周辺にはウェザリングカラーグランドブラウンで煤表現。

これは今までの作品と同じ仕上げになりますが、今回は径が比較的小さめの物ばかりなので、あまり黒くし過ぎないように注意しました。
エッジの塗料を微かにふき取ることで、金属のぎらついた質感も表現することができました。
今回はこのような結果になりましたが、まだまだ本物らしさを追求する余地はあると考えています。

今後も色々と勉強し、作品に反映させていきたいです。
最後に
そんなこんなで、ポルシェティーガーでした。

やはりフェンダーが無いとよりかっこよさが増す気がします。
このキットが出る前は、ガルパンブームでより人気に火が付きながらも、きちんとしたポルシェティーガーを作れるような猛者は本当に限られていましたが、今や誰でも手に入れることが出来る様になりましたね。

今後もポルシェティーガーだけでなく、アミュージングホビーさんの製品を作る人が増えればいいなぁなんて思っています。

余談ですが、僕が以前ドハマりしていたゲーム「World of Tanks Blitz」でのこの車輛は、装甲は厚いけど火力が低く鈍足、という感じで、あんまりいい扱いではありませんでしたね。
あのゲームはドイツ戦車には優しくないのです。
最後まで閲覧していただきありがとうございました。
前作「タミヤ 1/35 16式機動戦闘車」

次回作「タミヤ 1/35 ソミュアS35(ドイツ軍仕様)」
